ディーヴァ(歌姫)/そらの珊瑚
。
あの頃、あの恋に終わりが来るなんて
知ってはいなかった。
けれど恋は、どんなに真摯な恋にも、終わりは来るものだ。
そして何もなくなっても
それは終わりではなく
またストーリーは始まる
生きていれば彼女も
別のストーリーがあったはずなのに
とても残念。
人はもともと何も持たずに裸で生まれ
いろいろなものを拾いながら人生を歩く。
彼女もたくさんの素晴らしいものを得て
だからこそ
「I have nothing」の悪夢に怯えていたのではないかと思う。
結局人は何も持たずに生まれてきたように死んでいく。
素晴らしかった美声はみるかげもなくと
アルコールとドラッグに溺れた無残な最期だと
どうか悪く言わないで。
彼女は同じ時代を生きたディーヴァだったから。
手に余るほどの若さと自信と希望にあふれた歌声を
一番輝いていた時代の歌声を
私はこれからも忘れないでいたいと思う。
「I have nothing」は悪夢ではなく、人の真実の姿なのかもしれない。
2012年2月12日、彼女もまた伝説になった。
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