子/孫/記/憶/バンブーブンバ
 
あまりに大きな白い冷蔵庫
あまりに大きな白黒テレビ

届けられた 送り主は分からないけれど 

私たちには こんな冷蔵庫を一杯にするほどもちろん何も無かったし
最近映画館にも出かけていなかったので

空っぽの冷蔵庫に 親子ともども三人なかよく分け入って
映画鑑賞をしましょ と妻が微笑んだ

確かに 暑い毎日だったし それもわるくなかった

といっても 壁一面のブラウン管に 結局映るものなど無くて
ひたすら砂の 嵐だった

それでも 妻は寄りかかり 
寝息をたてた 忘れられない時間に 
なりそうだった

すると 子供が ハイハイしながらモニターに 手をかざすと
砂の嵐に 消えていった


今 <彼> は そのテレビを鑑賞している


ぽつんねんと 体育座りに添い寝する 二人あまりに
大きな白い冷蔵庫に それらを ひたすら 
映す白黒の ブラウン管



見つめはじめている
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