色と声/たちばなまこと
 
はじめての電話口での溜め息は
恥じらいながら憧れの色


「何色か聴いてみたいなきみの声」
「歌った声に似ているみたい」


話す声は低いのに不思議だよね
愛(かな)しがる声は高くなるの


ねえわかったよ昂れば声の帯
高い母音を響くかたちに


陽に照らされて声こぼす笑い皺
眩んで閉じる瞼に緋色


いにしえの振る舞いを真似歌にする
潔い色重ね重ねる






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