杉林/そらの珊瑚
杉の林は等間隔に植えられている
不要な(人間にとって)
細い横枝は
ばっさり切り落とされて
そのまま
そこらに置いておかれる
君らは要らない枝なんだ
役にたたないものを
育てるなんて寛容を
林は持ち合わせてはいないのだ
杉の木は
どの木もまっすぐ育ち
曲がることは
許されない
ここでは
規律が第一の正義なのだ
笑いもせずに
泣きもせずに
けんかもせずに
よそ見もせずに
年輪を増やすことだけを目的として
太陽に向かって
同じように
立っている
規格品
林の中で
唯一人工でないものは
冴え冴えとした
この香りだけだろう
それは
捨てられた枝々たちが放つ
ささやかな自己証明なのかもしれない
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