入浴賛歌/山中 烏流
 





 音を立てながら崩れていく我が身の
 なんと愛しいことか


 (耳、口、指、踵、その諸々から浮かんでは消えた
  その事実に「 」をそばだてて
 浴室の蒸れた空気の中、私は 
 恍惚と。眠りにつくようなざわつきに塗れて
 心中を企てる)


 底の方で芽吹いては揺らぎながら深海魚の真似に耽る私と
 窓の外から覗く大きな帽子の影


 排水溝に絡んだ髪の束がつく、溜め息に寄せて








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