かんむりょう/蒼木りん
 
田舎育ちのせいです

おとといの夜
雨の降る匂いがした

田舎も
もう変わり果ててしまったけれど
春の来る
土の肥える匂いは今も変わらず
わたしの脳に刻まれていて
枯れ草の下の土の息づく匂いは
毎年感じとることができて
古い記憶の映像を見せる

人のために
しいては
自分の心のため
わさわさしているうち
もう若い目が出ている

なんて
せっせと
なんて
せっせと
大地は生きているんだろう

冬を超え夏を超え
雨をしのいで
セキレイは大人になった
むかしは口をあけた雛だった

せつないことを
乗り越えていきてゆく

半分生きた
かんむりょう


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