『メトロノーム』/あおい満月
 
散在する
おと、おと、おと、おと、
らせんれんさになり
からみついてくる
どんな祈りや鍵さえもねじまげて
おかされるわたしの記憶

手掛かりは、
ひえていくわずかな体温だけで
銀の手摺にもたれかかり
いくつもの駅をかぞえる

こころがすなにならないように
こころがすなにならないように

いつかの、
袖口の動物を手なずけるように
ちいさく遠く
夜がさっていく時を見まもる



※『袖口の動物』は、杉本真維子さんの詩集から。
戻る   Point(6)