習作/ズー
塔を考案した、拾いあげると星よりも美しい労働者たちが祝杯をあげる黄昏れになりたいんです。ライトグリーンブルーバックに翼をひろげた鳥の群、語られることを知らないあのちいさな群々、その下に立ち上る。おおらかなる獣や無線通信する有限なる木々、それらを従える土壌らが紡ぎだした濃密な息遣いをピンで写生する人の隣に座りたいんです。ほんとかな?ほんとかな?そう云うかもしれない君に時間がないと嘘をついたのは私です。本当です。そしてこのつぶやきは昔からあったんだね。と骨盤でおもうのは誰なんでしょう。神経症患者のような足取りで海岸線をこの夜の終わりまで歩けば、いつしか単細胞生物が上陸する砂浜に蛍光色の太文字で「ソコにイルノはだれダ」などと描かれてあるのが、針のように冷えきったお月さまの下にみえてきます。「ココにイルノはだれダ」君はそんなことはおもわないし、砂浜から夜の終わり、いまだ脈打つ、静脈のハイウェイの向こうまで続いている足跡も、君のじゃない。当然だ。つまりこういうことなんだ。嘘ついて、ごめんなさい。
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