反転した世界ーーー夢/yamadahifumi
 
男はまたシルクハットを被り直した。
 「彼らは生まれてしまってからしばらくして(結局、彼らはうかうかと生まれてしまったのだ!)、自らの生に対して反省した。そして彼らはその欠点をーーーそう、生まれてしまったという欠点を改めようとした。だが、やってしまった事というのは取り返しがつかない。だから彼らは自分達ができるだけこの世界の傷口を広げないように配慮して生きたのだ。・・・こうした人々は現実に生きる、無数の無名の人達の中にわずかに見られるものだ・・・。では、第三番目に賢い人達はどういう人達か分かるかね?」
 「・・・分かりません。「愚かな」人達ですか?」
 「・・・いいや、それも違う。違うね。それ
[次のページ]
戻る   Point(0)