ある真夜中のポエジー /服部 剛
街がすっかり眠り
オリオンが西の空に瞬く夜更け
部屋の中で一人の男が
ペンを走らせている
時の経つのも忘れ
言葉にならない思いを綴る深夜に
何処からか聞こえてくる列車の音
かたっことっ
かたっことっ
かたっことっ
かたっことっ・・・
その音が暗幕の闇を潜り抜け
彼の心の入口に届いて
体内に広がってゆき
ますます時を忘れた彼は
何かがのりうつったように
詩作に没頭する
部屋の中は時計が時を刻む音
電気の微かな、じーーという音
紙の上にペンを走らせる乾いた音
人々が夢を見て
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)