人間樹木/そらの珊瑚
 
うな気がします

特別な子だったのです
健康体で生まれなかったことを
恨んだりせず
毎朝たくさんの薬と共に
自分の運命さえ飲み干していたのです

満月の夜に
庭に出て
たよりがないかと捜す時
この世の全ての出来事に
影があるのに
気がつきました

あの子のために
笑ったり
泣いたりしたことが
人生の
光であり 影であったのだと

人間樹木の集まる森は
一番星の光る下にあるといいます
けれど
わたくしどもがそこへ行くことは叶いません
この世の道にはつながっていないのです

それでよいと思います
夕暮れ時に空を見て
道標べのような
その星を見つけたら
それだけでよいと思いましょう


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