白痴王の湖/和田カマリ
 
老鳥が、俺のお尻を突っついて、泥のような眠りを妨げる。

「総理、総理、お気を確かに。」
うるさい、うるさい、うるさい。

苛ついた俺は大きく羽根を拡げ、首をスックと伸ばしながら叫んでいた。

「やかましい!どうせ俺はファーストキスも、BもCも、全部ソープランドだ。」

一瞬の沈黙の後、凄まじい怒号が聞こえた。ここはどこだ、少なくとも湖ではない。陸上の、何かの建造物の内部だった。しかも、テレビで見たことがあるような。も、もしや・・・


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「紛糾!消費税国会 首相乱心 一発レッドカード」
「寝ぼけ総理 白鳥の舞 悲惨な性の歴史 退陣へ
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