恥の芯  恐怖心/シホ.N
 

  「恥の芯」


生きているのが恥ずかしい
死ねないことが恥ずかしい
しょせん価値など求めてないが
恥ばかりの道のりで
消えてしまいたくもなる

過去は去るまま
未来は白紙
今は一瞬一瞬移りゆく
確かなことこそ不確かで
その最たるは自己意識

我執にとらわれて
人間不信
信仰不信
神の国も涅槃の郷も
自我の過剰で遠くなる

一本
たった一本
芯がほしい
その一本のしなやかさで
恥ずかしさのまま立っていたい



  「恐怖心」


生きているのが恐ろしい
死にゆくことが恐ろしい
しょせん安楽などないが
恐れるばかりの道のりで
怖じけてしまうこともある

過去の所業
未来の果然
今はなににも属さない
不確かなことを確かめて
寄る辺ないのは自己意識

無我の境地などなくて
自己慢心
自己中心
神の愛も仏の慈悲も
我執の固持で遠くなる

ひとつ
たったひとつ
信がほしい
その信のふところ深さで
恐怖も受けて立っていたい


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