『哲学とエゴ』/木製金属
 
勝利か劇的終焉のイイ話
じゃないと納得しない彼のスタンスに腹が立って

やっぱり私はわたしのままだと言い放ち
その部屋を出た

暗くなる前の商店街を少し足早に歩く

私は怒っていた
涙目であった

どうして結婚の話してて
ここまで話題が飛べるかなあ
なんで私を差し置いて
いろいろそこまで考えるかなあ

何がどうなってしまったのか
差し詰め見当はつくものの
そうなってしまった彼を見つめるのがかなしいのだ

彼の目に
もう見えていない私をもう一度うつしてほしい
私も彼が見えなくなる前に

震えるほど固く握った手をほどいて

誰もが何も見えなくなった夜の道を
私は歩く
足早に
彼の部屋へ戻るために

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