水たまりの民 ちいさなひとり言/浅香 葉菜
水たまりでいきていたので
干からびそうになってはじめて
陸というものをしりました
底というのは
怖いものではなかったのですね
こんなにもすぐに
わたしをつつんでいたものが
消えてなくなってしまうことが
恐ろしいけれど
水たまりでいきていたので
地にカラダがふれてはじめて
うえとしたというものをしりました
漂うだけでは
もう済まされないようです
なにが済まされないのか
よくわかりませんが
ただ
水たまりでいきていたので
重力というものが
しんどくてたまりません
次の水たまりをさがします
また会えたらいいですね
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