『赤いいのち』/あおい満月
 
わたしの胸元に
棲みついた龍へ

きみが宿った朝は
ゆるやかな大河のように
ゆったりと開眼した
鏡を覗く視線が
きみの眼のように
きらりと煌めいた

もう、
わたしはわたしから逃げることはなく
向き合っていけるだろう
わたしもきみのように河を登る

風を感じると
透明な苦しみの匂いがする
けれど、
なみだの予感はない

わたしの胸元で
赤い海を舞うきみのように
立ち向かう強さを持つ
わたしの胸元の
その皮膚のしたの血脈が
波打つ音が聴こえる


                     二〇一二年一月一八日(水)
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