サナトリウム(掌編小説)/そらの珊瑚
 
 光と影が突然交錯する、いくつかのトンネルをくぐる。電車に揺れながら、いつも不思議な感覚に囚われていた。
 どちらかが現実で、どちらかが夢だとしたら、一体僕は今どちら側にいるのだろうか、と。

  ◇

 君のもとへ、こうして訪れるのは、ほぼ仕事のように日常のことになりつつある、と言ったら君はなんというだろうか。
「気の進まないお仕事でしたら、どうぞ放り投げてくださって結構よ」
 と冷たく横顔(プロフィール)だけを見せて言うだろうか。
 もしくは
「まあ、ご苦労様です。けれど、お給金は払えなくてよ」
 と皮肉を込めて言うだろうか。
 僕は苦笑する。人生に問うてばかりだ
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