草花たち/北野つづみ
なぜだろう ひとりで見上げたい空がある
なぜだろう ひとりで歩きたい小道がある
踏み拉かれるのはいつも名もない草花たちだ
(ほんとは名前があるのだが
(呼ばれてうれしいか 知らないが
美しいとはいえない花の咲く
(それらはほんとに花なのか
芥のような種を落とす
(いのちはどのように折りたたまれているか
草花たち
どんなに乱暴に扱われようと
ふたたび立ち上がる と思われて
今日も明日も踏み拉かれて
(それは奇妙な信頼なのか それとも
(見くびられているのか
わたしはそんなに強くない
清んだたましい まっすぐな背骨
花弁には哀しみの色が混じっている
(運命なのだ
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