朝/理来
とても緩やかな速度だった
晴れた日の湖を思い出せるほど
まぶたに溢れていた
そこから声を投ずることもできないほど
咽は休息していた
背をどこへ向けようとも
視界は空でいっぱいに満たされ
早く行こうとも
それに追いつく足はなかった
与えられたものを受け取ります
昨日見たこの夢も
ひとときのわたしです
少しずつかえそうと思います
ふとんを片付けてから
出掛けようと思います
明日も同じ気持ちでいられるでしょうか
明後日もよどみなくいられるでしょうか
差し込んでくる斑点は
ぽつりぽつりと浮き上がります
沿線の道が見たくなって障子を開けると
冷え込む冬の朝でした
戻る 編 削 Point(5)