秋刀魚の魂/
そらの珊瑚
今日の昼ごはんに
ピザを焼いた
冷蔵庫の片隅で
あやうく忘れられそうになっていた
正月から持ち越しのハムを
細かく切って載せてみる
魚焼きグリルを予熱する
五分ののちに
三日前の秋刀魚の匂いが
漂ってくる
ああ、おまえたち
まだそこにいたのかい
実態がなくなったのちも
そこに い続けるものたちよ
なぜ そこにとどまり続ける
さまよえるものは
見えないだけで
きっと いる
今日の昼ごはんは
秋刀魚の魂を宿した
少々焼きすぎたピザ
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