さけび /服部 剛
 
なかなかはいはいが進まずに 
布団に顔を埋めた周(しゅう)を 
仰向けにしてやったら 
全身を真赤(まっか)にしてうああ、と泣いた 

周は、悔しがっているのだ。 
夢中で声援を贈りながら 
床を這って見守るパパとママに 
もっといいところを見せたい、と―― 

がんばって、疲れた周に 
思わず両手をさしのべて 
胸に抱き、頭をなでれば 
数分後には腕(かいな)の中ですやすやと 
天使の寝顔は、夢を見る。 

布団に埋めた顔を上げ 
うああ、と叫びながら、前へ、前へ 
小さい手足で布団を這った 
周のガッツに 
じーん・・・と打たれてしまったパパは 
我が胸に抱く、天使の寝顔に誓うのだ   

間違いだらけの日常を 
うああ、と叫び 
お前のように、這ってゆく 







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