離れ小島/たにい
 
大洋のなかにぽつんと孤島がある
永い間孤立していた島は海鳥に自分の気持ちを託して遠くの島に遣わした
海鳥は赤い実を啄んで帰って来た
ただそれだけでメッセージは伝わらない
島は自分を掘ることを思い立った
厚い岩盤を掘り抜いて鉱脈にまで達するほど深く
あの島とも地底深くでは共通の鉱脈で繋がっているはずだから

掘って掘って掘り進むにつれ
徐々に熱くなってきた
ついに掘り当てた 
マグマ層だ
永い間眠っていたマグマが
刺激され勇んで地表へ突進した

冷え込んだ冬の寒い夜
島は噴火し真っ黒な夜空に大輪の花を咲かせた
最初他の島々はポカンと口を開けて見ているだけだったが
ついには喝采し見事な詩ができたと褒めてくれたとよ
                                            
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