おとといのこと/はるな
 
まりひとを妬んだり、嫌ったりしない。ときたま物事やひとを憎むこともあるが、その憎しみはあまりに深く、強いので、森のようにうっそうと茂って、見かけからはほとんど知ることができない。
わたしの愛している人々の多くはまだ生きているが、死んでしまったひともいるし、連絡のとれなくなったひともいる。

姉もまた破綻した部分を抱えている。でも死ななくてよかったなと思った。わたしはわたしと、姉が生きていてよかったなと思った。たくさんの人びとや、物事が流れていくので、とても大きな渦のように渾然と流れていくので、わからなくなってしまう。あまりに多くの人が死んでいって、多くの土地が壊れてしまって、そういうのをたく
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