冬の道/そらの珊瑚
寒くなれ
痛いほど寒くなれ
凍れば凍るほど
僕は強くなる
霜柱
一晩かかって
地面を持ち上げる
どうしてそんなことを
するのかって
そんなこと聞かれても
実際のところ
わからない
自分が誰だなんて
実際のところ
みんなわかってない
誰も誉めてはくれないけれど
僕は
霜柱として生きていくしかない
そのうち
ランドセルを背負った
無邪気な破壊者たちが
僕を踏みつけていく
ザクザクと
今朝も遊んでくれてありがとう、と
いうべきか
ちくしょう台無しにしやがって、と
いうべきか
唯一
僕を踏まない子がいた
小夜子ちゃんだ
袖
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