【 夜の雫 】/泡沫恋歌
 
宙(そら)に向かって 翳した掌(て)
ちっちゃな指の隙間から
見える夜空

月と星 天上を照らす
蒼白く磨ぎ澄まされた星々は
夜の静間に息づいて
光年の刻(とき)を数える

彗星のように 駆け抜けて 
やがて消えていく運命(さだめ)
きっと この星の光は
あなたには届いていない

朧げなる月よ
何故 わたしの心を見ない
もどかしさに身悶えて
星屑がひとつ消えていった

水面に広がる水紋
白く尖った月が
心に突き刺さる

今宵の月は哀しくて
翳した掌(て)も 指の隙間も
夜の雫に濡れている


戻る   Point(17)