石を隠しもちながら/
石田とわ
右手はきみの手を握りながら
左手に石を隠しもっているのを
きみは気づいているだろうか
いっそうのこと死んでくれないかと
願った夜を知らないだろう
今年の冬はきつかった
ほんとうにほんとうにきつかった
その生きたぬくもりを感じながら
一緒に歳をとろうじゃないか
髪に白いものが混じり、しわができ
だんだんと死がこわくなくなるまで
右手をきみにあずけよう
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