甘酒の味 /服部 剛
 
お正月に風呂屋へ行き 
入口でもらったサービスの甘酒を手に 
目に入った「足湯」に 
ズボンをまくって、足を浸す 

紙コップから一滴(いってき)の甘酒がこぼれ 
お湯が一瞬、白く濁り 
数秒後には何もなかったように 
透明のお湯に戻った 

人間という一滴もいつか 
透明の世界に消えるだろう 

手にした紙コップの甘酒を 
一口、啜る 

おいしい 







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