十二月三十一日/蒲生万寿
る乞食。
日向は温かく、日陰は寒い。
特に冬は物の陰影を濃くする。
何処からかやって来て、何処かへ往く、自分が何者か分からぬまま…そのような題名の絵をゴーギャンは描いた。
多くの人が参加した大祓が終わった。
夕暮れ、寒さが増す。
まだ銀杏はまっ黄色に色付いた葉を残している。
帰りの地下鉄は人もまばらだ。
外に出ると月が明るくなっていた。
街の灯も点り出した。
十七時を知らせる音楽が鳴り響く。
実家から届いたたがね餅を雑煮で頂く。
この間から読み始めたカフカの「城」を読む。
先日見た映画に出て来たからという理由で節操もなく読んでいる。
風呂に入る。
その後で新年を意識して、風呂掃除をする。
イタリアのゾンビ映画を見る。
除夜の鐘が聞こえて来た。
煩悩の数だけ撞いて、百八つ目は年が明けてから撞く。
もうすぐ一年が終わる。
明日は新年。
終わりの次は始まりってのが良い。
終わったようで終らない。
あらたまるのだ。
明けましておめでとう。
今年もヨロシク。
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