The leaf./Akari Chika
 
す旅人の歌
失った恋を朗々と歌い上げている
路地の眼を抜けて高い土壁を染めていく

落葉するのも悪くない、
だって日々は涸れていくもの。
時は移ろうのではなく色を変えていくの。
電話一本で歳を取ったと気づく、
なめらかな声が反響していた頃とは違う
でもわたしの葉脈は海を越えて広がり続けている
グレイト・ストーリーを紡ぐために

森が本だと想像してみる、
一頁一頁が緑の葉っぱで出来ていると。
陽の差し込む部屋でそれを開いている
まるで十四歳の気分で

あなたのようになりたい、
あなたはどこから来たの
喋らなくても通じ合っている
心は光を受け止める感覚を忘れては
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