師走の包絡線/あおば
 
              111230



誰でもすぐ書けますと
エッセイ教室のお誘い電話が鳴り響く時に
夾竹桃の花弁がほろりと落ちて
足下に赤い輪郭を記す
ほろりと落ちる度に
輪郭は少しずつ重なってはズレて
次第に大きくうねる波状になって
揺蕩う小舟の行方を見守っているようだ
.....

夾竹桃がすっかり散って秋が来る
芸術の秋だ!
うちの教室の先生は苦労人だから
自転車で転んでもただでは起きない
ハンドルが曲がったか
クランクが曲がったか
サドルが横を向いていないか
気になるところを一通りチェックしては
服の埃を叩き
大丈夫と鷹揚な笑顔
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