ファースト・エンカウンター/板谷みきょう
たが、
淡い純粋な恋心だけは大地がしっかりと受け止めておりました。
季節は、その間にも少しづつ過ぎて行きました。
丁度、秋桜が咲き始めるころ、
大地は受け止めていた紫陽花の恋心を少しづつ秋桜に伝えたのです。
それを知った秋桜は、紅に染まった花を咲かせました。
風が赤く染まった秋桜を揺らしながら、囁きました。
『季節が違う花同志は、一緒になる事は無いんだよ。』
あれから何年たった事でしょう。
それでも、紫陽花は秋桜に変わらない想いを送り続けているのです。
僕の中で《真実の愛》とは何かが、
大きな問題となって行った。
それは精神的なものと、肉体的なものとの葛藤だ
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