ファースト・エンカウンター/板谷みきょう
 
がりに告白をしている事も気付かず、
いつも僕から言い出していた。
伝える術も無いまま、
そして時だけは、全ての関係を丸め込んでいって去って行った。

太宰に傾倒していたにも関わらず
その僕はときたら、センチにも童話を書いていた。

その時の想いを今、新たに書き綴ってみよう。
紫陽花と秋桜の話として…

紫陽花の花が秋桜に恋をしました。
いつかその純粋な想いを伝えて、
一緒になる事を夢見ておりました。
そうして紫陽花は、
その想いを、日に日に募らせて行きました。
しかし、ある時、風がささやきました。
『秋桜が咲くのは、君が散ったずっと後だよ。』
すっかりのぼせ
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