ラプンツェル/愛心
 
彼女は盲目でした。


ラプンツェル




元来、周りに関心がなかったのか
そういう性格なのかは分かりませんが

彼女はいつも、独り。
歌っていました。

生まれてこのかた切ったことがないのでしょう。
長い髪を体に纏わせ、ただひたすら。
決して上手くはない旋律を紡ぐのです。

何も映さない双眸。動かない眉宇。歪まない唇。染まらない頬。

それはまるで、人形の様に美しく、不気味でした。

周りの目など気にする様子もなく。

イカれた娘。嘲笑の的と化しても。
人形の娘。蔑まれても。

彼女は変わらず。歌うのです。

[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(5)