ラプンツェル/愛心
彼女は盲目でした。
ラプンツェル
元来、周りに関心がなかったのか
そういう性格なのかは分かりませんが
彼女はいつも、独り。
歌っていました。
生まれてこのかた切ったことがないのでしょう。
長い髪を体に纏わせ、ただひたすら。
決して上手くはない旋律を紡ぐのです。
何も映さない双眸。動かない眉宇。歪まない唇。染まらない頬。
それはまるで、人形の様に美しく、不気味でした。
周りの目など気にする様子もなく。
イカれた娘。嘲笑の的と化しても。
人形の娘。蔑まれても。
彼女は変わらず。歌うのです。
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