巡る/Akari Chika
 


“めぐる”


というたった一言に翻弄されて生きている
私たち。
その事実を最も明確にするものが「季節」なのだ
と、思う。

生きているとどうしても鈍感にならなければいけないときがある
無理やり心の鍵を閉じるようなものだ。
鋭敏になってはいけない、
と耳元で警鐘が鳴る。

そういうときをやり過ごすのが
私にとって
何よりつらいこと。

空の色が染まるころ
解放された心と共に
詠いながら歩くことを
楽しみに過ごしている。

鳥が羽根を擦り合わせるときのような
わずかな音。
わずかな温度。
例えるならこのくらいのスピードで変化する「季節」

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