イヴの罠/まーつん
 
ーグカレー(並)のせいか、胸やけもする。部屋の床には投げちらかした冬服、煙草のヤニで黄ばんできたカーテンのホックは外れかかっていて、棚に詰め込まれた聞き飽きたCDは、崩れ落ちかかっている。
 明日は仕事だ。これが僕の、クリスマス・イヴ。特別、イエス・キリストに思いを寄せたりもしない。今夜の主役は彼の筈なのだが。

 もしも今サンタが現れたら、彼を椅子に縛り上げるつもりでいる。もっとも、我が家に煙突はないので、彼がここに忍び込むとしたら、多分ベランダからだろう。だからそこにはネオンで飾ったモミの木を置いてある。もの欲しそうな赤い靴下をぶら下げ、黄金色の電飾が、海辺の街の夜空に向かって゛Welc
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