しょっぱい宝石/そらの珊瑚
私は
鏡の中で火傷の痕を
そっと
指先で確かめる
年月を経て
それは大分薄くなって
セピアに変色した
フォトグラフを連想させる
右頬に
てん、てん、てんと
程よい距離を置いて存在する
あたかもあの夏
恋の炎に
じりじりと焼かれた
かつての
証
のように
ここは
大昔
海だったのよねえ
標高五千メートルのアタカマ高地の
そこかしこに
岩塩が散らばって
しょっぱい宝石は
海の音を懐かしがって
ほほえむかしら
泣くかしら
いいえ
ここは雨が降らない砂漠よ
この結晶は
吹きさらしの風と
戯れるだけ
そうして
核は
ますます塩辛くなっていくの
火傷の痕が
愛した記憶を
イトオシムように
Bring me there
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