愛のうた/そらの珊瑚
 

君が唄う愛のうた
もう
歌詞さえ忘れてしまったけれど
確かに
君は唄っていた

窓辺のひだまりに置いた
鳥かごの中で
無邪気に
金糸雀が囀る(さえず)ように

石造りの灯台で
今宵、出航する
船を見送る
強い決意をもった光のように

港が見下ろせる
公園の花壇に
植えられたパンジィの
深い思索のように

サナトリウムの固い寝台に腰掛け
今朝できたばかりの
二本の三つ編みのような
隙間のない美しさで

君は唄っていたね
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