渋谷一軒屋の夜 /服部 剛
渋谷のライブハウスgeeーgeに入ると
唄歌いの君は
カウンターで手づくりのおでんを
皿に盛り、お客さんに手渡していた
若い歌姫が「涙そうそう」を歌い
チャイナ服のバンドの「モンキーマジック」に湧いて
ウクレレおじさんがしんみりと弾き語り・・・
手拍子をする合間に
ゆげの昇るおでんをほおばる客席の人々
福岡から来た人も
名古屋から来た人も
みんな一つに集い
老いも若きも「音を楽しむ」
ライブハウスgeeーgeが
一つのおでん鍋になり
北風吹く渋谷の街に
人間(ひと)のハートが高鳴ってゆく
渋谷一軒屋の夜
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