帰路/かぐ
砂丘の砂を詰めた小瓶を
土産に貰った
投げ捨てたコートを着込み
土曜に帰ろうと思った
空き缶に庭の土を詰めて
小さな海が生まれた
カエルが小石の消波堤をよじ登って
地平線にさよならを言う
カタツムリは砂浜を這って
宛先不明の手紙を書いた
真っ暗な夜が怖いならと
ホタルは波間に灯りを落とす
炭酸の泡がはじけると
海は沈んでしまった
心の底をすくっても
思い出は指の間からこぼれる
鍵を掛ける
少し考えて
ノックをする
返事がする
もう少し迷惑を掛けよう
持ち合わせが不安だから
バス停まで歩いた
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