ジグソーパズル/望月 ゆき
 
 
 ピースが一つ足りない、と
 夜がそれを探しに向かう
 朝になるとぼくは、拾ったピースを手にしたまま
 夜が戻るのを待っている
   *
 空の遊水地で、きみが武器を捨てている
 眼差しはしずかに、永久へと沈殿していく
 すると 透明な魚が
 その上を泳いでゆく
   *
 
 女郎花の咲く、沈黙の庭のなかで、
 八月だけが饒舌だ
 弔いは、黄色く擬態している
 生のイメエジは捨てて、
 きみの額に
 夕暮れのように、偏在したい
   *
 ジグソーパズルはいつまでも無名で
 世界はどこまでも不健康だ
 
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