【 クリスマスローズ 】/泡沫恋歌
 
星屑を集めたように
煌めく光で街は飾られた
行き交う人も忙しげな
そんな季節がまたやってきた

駅前の広場には
大きなクリスマスツリー
そこは恋人たちの
密かな待ち合わせ場所

クリスマスケーキを手に
家路を急いでいた
わたしの目に ツリーの元 
白く浮かび上がってきた

まさか逢えるなんて……

遠い日の恋人
忘れられない人だった
この場所で待ち合わせて
ふたりは聖夜を過ごした

やあ!
とあなたが声をかけた
立ち竦む
わたしの胸が小刻みに震える

言葉もなく
見つめ合ったまま 
時間が逆流する刹那
現実に立ち戻ろうとする私に


[次のページ]
戻る   Point(8)