【 クリスマスローズ 】/泡沫恋歌
星屑を集めたように
煌めく光で街は飾られた
行き交う人も忙しげな
そんな季節がまたやってきた
駅前の広場には
大きなクリスマスツリー
そこは恋人たちの
密かな待ち合わせ場所
クリスマスケーキを手に
家路を急いでいた
わたしの目に ツリーの元
白く浮かび上がってきた
まさか逢えるなんて……
遠い日の恋人
忘れられない人だった
この場所で待ち合わせて
ふたりは聖夜を過ごした
やあ!
とあなたが声をかけた
立ち竦む
わたしの胸が小刻みに震える
言葉もなく
見つめ合ったまま
時間が逆流する刹那
現実に立ち戻ろうとする私に
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