船に乗る日 /服部 剛
 
旅路の果てに 
 正しさを祈りながら  」 

妻が僕を目的地に運ぶ 
朝の一本道の上に 
あたらしい太陽が昇っていた 

妻がブレーキを、踏んだ。 
僕の顔は、涙でぐしょぐしょだった。 

接吻をした
ドアを閉めて、手をふった 
ようやく本当の道を・・・歩み始めた。 

国道1号線の先にある 
これから僕の生きる施設が 
まるで何処かへ出航しようとする 
巨きな宝の船に見えた 

感極まった顔のまま 
僕は歩道を歩いてゆく 

施設の正面玄関の開いた自動ドアを 
無心のままに、入る 

いつもより早く来ていた所長が 
僕を見て「よろしくな」とひとこと言って笑った 

感謝の言葉をのどに詰まらせ、
この心臓の音が
新たな予感に高鳴るまま 
僕はまっすぐ、頭を下げていた 


 ※「   」内はBUMPOFCHICKENのアルバム 
  「ユグドラシル」(トイズファクトリー)の収録曲 
  「ロストマン」の歌詞より引用しました。 







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