白い女の頬を撫でる影/マーブル
 
ている
嵐の夜が明けて昇る太陽を見つめすぎてできるあの残像のような


頬をすべて包んだ後には
葡萄酒を飲み干した男の胃袋のなかだったと月は思う
12月は世界の錆びついた景色に終わりを告げる月なんだと思う
わたしの滑稽な硝子玉とあなたの贅沢な骨は同じなんだと思う
蝕まれることなんてないのよいつも影は包んでくれるのだと知る


頬を撫でるその手は
わたしをじりじりと焦がすけれど
掠めた左肩が去ってゆく頃
わたしは青い庭に戻ってゆく
胸に棘が抜けないまま
ふたたび凍えた頬になり
かじかんだ男の手をそっと想う


今度はわたしのほうね
あなたを包む日は何時になるのだろう
春の微睡みのなかかしら
草花の香りがする場所で
うたたねを夢にみている

  
   ラベンダーの瞳 マーガレットの遊びとクローバーの祈り










戻る   Point(4)