東京動物園 /服部 剛
金曜の休みに出かけた日
終電に近い電車で帰ったら
くたびれ果てたいくつもの寝顔が
ネクタイを緩めて、右に左に傾いていた
サラリーマンの皆様の顔を見て
(これがほんとの疲労だろうか?)と
吊り革にぶらさがりつつ
僕は密かに、問いかける
今よりもっと若い頃
「サラリーマンにはなりたくねぇ」と叫ぶ
ロックンローラーに痺れていたが
人並みに妻子を持つ今となっては
都会のすべての人々が
「トーキョー」という檻に入った
様々な愛しい動物達に視えてくる・・・
僕自身がひとりの
呆けた猿であることも忘れて
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