glossolalia/雛鳥むく
 
あなたのひとつめの死を現像するための暗室でいくつもの春を指折
り数えていた(宛先のしれない指示語が濫用されてしまう街の隅に
ちいさくうずくまったまま声を発さない亡霊たち(汲みあげる手つ
きで垂れ流してばかりいた(冤罪という言葉をもって火の輪を潜る
ように(たゆたう水のながれのうえに浮かぶ幾百もの語彙、素足を
浸して小川を横ぎる獣たちの群れ。


なにから話そう?
与えられた語彙のなかから、
与えられた羽根で。
(わたしたちどうしようもなくヒトです)
ひたむきな暴力を重ね
同じ文脈を
なんどもなんども反復して、
それから、
(それから?)
なにもかもが
生殖してい
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