ひかりの冬、はじまり、ひとつ。/たちばなまこと
 
ひかる夜のはじまり月の余韻に
雪のかけ橋多摩のよこやま



ゆきかうひとたちが家路につく
荷物と引きかえに流れ去る喧騒
遠く暮れるまちなみ
新参者のたばこのにおい

膝にまどろめ穢れ無きいのち
やわらかさが覆いかぶさる
新しいい草の香り
降りそそぐ温い眩暈

車の音、と声をこぼせば
波の音みたい、と返す
湿り気に閉まるドアは打ち上げ花火
ひとみの火花で灯る
冬の柱
白いかがり火
ひかりの祭り

おなかの中に満ちる閃光
ひとつ、ひとつ、またひとつ、と
確かなかたちを教わるように
まぶたを開ければしなやかな弓越しに
真白の太陽
まばゆい放射に暦
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