みづうみ/そらの珊瑚
針葉樹が生い茂る
森の奥深く
みづうみがあった
風もなく
濃緑(こみどり)をたたえた湖面は
鏡
同時に
境界
線
そこに映る景色は
さかさま
あたかも
そこに
もうひとつの秩序を持った
世界が
成立しているようだ
試しに
嘘を投げ込んだら
真実が見えてきた
みづうみの住人は
ゆらめく水面を
見上げて
くすりと
笑う
いつまで詩なんか書いて
油売ってるつもりだい
そのうち
嘘か真実か
わからなくなっちまうよ
さあ、もうおかえりな
もどれるうちにね
どうやら
超えてはならぬ
境界線があるようだ
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