アイロン、アイロン台としわのあるシャツ/はるな
 
ン台なのだ。満たされない思いを受けることでしか満たされることができない。悲しみを知ることでしか喜びを判別できないような―戦いのなかを泳いでいるような―そうとは知らずに、ずっと。
みんなそうだ、みんな少しずつ、わたしは不幸にしているような気がする。田舎のモーテル、アイロン台。そして知らない誰かのかなしみ。やわらかに匂いたつ生活、夫のしらないわたしの性交、家出癖の少女、そしてどこかわたしの預かり知らぬところでアイロンを掛けているであろう、彼の妻。


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