ロマネスクの果て/済谷川蛍
たのはメガネだけだったので、ほかに友人を作るよりは一匹の虫けらでいようと思った。僕から自由になったメガネの小坊主は、僕よりもよっぽど健全な若い学生たちに囲まれていた。
あるとき心理学の授業で僕は60代くらいの女教授に、自分はアスペルガーか、発達障害か、人格障害か、それともエクセントリックか、どれにあてはまるのだろうと質問した。しかし教授は賢明で地位もある方なので、僕を授業中に診断することも、僕に興味を持つことも一切なかった。僕は他のあらゆる講義でも積極的に教授の解説の間隙をつくような質問をしたので、学生とのやりとりが大好きな教授たちはさも面白そうに質問に答えてくれた。しかし教授たちはこの学生が
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