ロマネスクの果て/済谷川蛍
期を通り越して、少しずつ名前などを聞き合ったりするような仲になった。が、このぎこちない関係は、少しずつ馴染んでいったのではなく、1週間も経たずに決裂したのであった。あるとき、住所や家族構成や、本校に学ぶに際して興味があることなどを記入するプリントが配られたとき、メガネの隣に僕がぴょんと移動して無遠慮に用紙を覗き込んだのである。この行動が、これまでメガネが抱いていた僕への馴れ馴れしさに対する嫌悪の度を超すものだったので「なにするんですか、個人情報でしょ」と怒りを露わにしたのである。僕はその反発に心底ガッカリして、その日からメガネにつきまとわないことにした。しかし、同じ新入生で見込みがありそうだったの
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